高層ビルの上層階や河原などの広々としたところにでも行かない限り、東京で空しか見えない光景にはなかなかお目にかかれない。それなりに人口密度の高い東京では、あちらこちらにビルが建っていて空は狭い。
だから空しかないような光景に巡り合うと嬉しくなる。不意に巡り合えようものなら尚更だ。鵜の木にある光明寺の鐘楼にやって来たときもそうだった。鐘楼を見ようと階段を上がってみたものの、僕の目を捉えたのは鐘楼ではなく、横に立つ一本の木だった。木の向こうにビルが見えず、空だけが広がっている。
墓所になっている鐘楼の周辺で、一箇所だけがこんもりと高くなっていた。そこが草で覆われ、頂上に木が立っているのだ。屹立した木は周囲を睥睨しているかのよう。雰囲気が周囲の墓所と少し違う。なんでもこれは古墳なのだという。5世紀末に築造されたもので、古墳時代が過ぎた後も室町時代に至るまで、周辺の土豪層とその一族郎党の墓としてそのまま転用していたものなのだそうだ。
堂々と立つ木の姿を写真に収めようとファインダーを覗くと、空には夏の雲が堂々と浮かんでいた。
2021年11月 自然 東京 | |
雲 シルエット 空 木 古墳 鵜の木 |
No
12086
撮影年月
2021年7月
投稿日
2021年11月10日
更新日
2024年01月02日
撮影場所
鵜の木 / 東京
ジャンル
自然写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF