口髭を生やした男は肉屋だった。包丁を手にロンプールにあった小さなお店の中で働いていた。大きな肉片が軒先にぶら下がっている。このような肉屋はこの辺りでは珍しくはない。冷蔵設備もなく、無造作にさばき終えた肉を店頭に陳列するスタイルはバングラデシュやインド、ネパールでは一般的なスタイルだ。
写真を撮らせてほしいと男に声を掛かけると、肉を切るのをしばし止めて僕のカメラを一瞥してくれた。でも、かなり面倒臭そう表情をしている。変な相手に目を付けられてしまったと思っていても不思議ではない顔だ。男の周囲には捌かれたばかりの新鮮な肉が並べられていて、周囲には蝿が飛び回っていた。男の中では僕も飛び回っている蝿も同じように相手にするのが面倒なものに違いない。もしそうならば、追い払われなかった分だけ、僕は蝿よりもランクは上なような気がした。
2014年8月 バングラデシュ 人びと | |
肉屋 視線 肉 ロンプール |
No
8745
撮影年月
2009年9月
投稿日
2014年08月31日
更新日
2023年12月12日
撮影場所
ロンプール / バングラデシュ
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM