クロントゥーイ市場の屋根で覆われている場所へと入っていき、薄暗い通路を進んでいた。他の場所とは対照的に、ここは閑散としている。工事中の場所なのかもしれない。通路が薄暗い中を伸びているばかりで、お店はほとんどないのだ。この場所は静けさに包まれていた。
そうこうしていうちに、薄暗い中で営業している数少ないお店のひとつの前にやって来た。ワゴンが出ていて、その上には卵が沢山置いてあるのが見える。そして、コックコートのような白いシャツを着た男がワゴンの前に立っていた。この人が店主なのだろう。ワゴンに取り付けられた裸電球が眼鏡をかけた男の顔を照らしていた。
男はつまらそうな顔をしていた。もちろん、近づいていっても僕のことなど視界には入っていないようで一瞥をくれることもない。僕にとっては旅の最中で、目に入ってくるものが新鮮に感じる一日だけれど、男にとってはありふれた日常の中の一日でしかないのだろう。確かに、僕も日々楽しく働いているのかと尋ねられても自信を持ってそうだと答えることはできない。せいぜい楽しいときもあるかもしれないと思うだけだ。
2020年2月 人びと タイ | |
バンコク 薄暗さ 卵 眼鏡 クロントゥーイ市場 市場 通路 |
No
11403
撮影年月
2019年9月
投稿日
2020年02月15日
更新日
2020年09月14日
撮影場所
クロントゥーイ市場 / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA