メークロン線路市場の真ん中には、その名の通り線路が伸びている

メークロン線路市場の真中を伸びる通路は線路になっている。廃線になった線路ではない。今でも使われている現役の線路が市場の中に伸びていて、線路の両脇にお店が並んでいるのだ。

この市場を訪れた人は誰であれ、この線路の上を歩いて市場の中を行き来する。珍しいのはこの線路の上を行き来するのは買い物客だけではないこと。廃線になっている訳ではないので、今でも思い出したように列車が通るのだ。

列車が走るときには線路脇に並べられた商品は列車にぶつからないように退けられる。列車が来る度に退けるのはそれはそれで結構面倒だと思うものの、ここを走る列車は一日に4往復しかしないと聞いて納得した。列車がここを走るのは稀で、列車が走っていない時はどこにでもある市場と同じようにのどかな雰囲気が漂っている。

線路脇に目を向けると様々な果物が並べられていた。商品の近くに腰掛けていた店主は、俯きながら膝の上に置いた帳面に何かをかき込んでいる。列車が走らない限り、ここはのんびりした空気に支配されているのだった。

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