待っている列車はなかなかやって来ない。一日4往復しかしないので仕方がない。線路の両脇にはお店が何食わぬ顔で出たままだ。この細長い市場は、真中を線路が通っていることを除けば普通の市場だ。大勢の人びとがお店の中で働いていて、地元の買い物客が線路の上を通路代わりに歩いている。至って普通の雰囲気だ。ちょっとした違いは、売られているのが食材ばかりなのに僕のような観光客の姿が多いことくらいだ。皆市場の中をプラプラしながら列車が市場を中を走り抜けるのを待っているのだった。
僕も時間を潰すためにプラプラと市場の中を歩いていた。もちろん歩くのは線路の上だ。線路の脇にあるお店では男がしゃがんでいた。周囲を沢山の大きな容器に囲まれている。僕のいるところからは手元が見えないけれど、男は黙々と魚を捌いているようだ。男を写真に収めていると、ふと視線を感じる。線路の先に男が佇んでいる。そして、じっと僕のことを見ていた。列車はまだやって来ない。
2018年6月 人びと タイ | |
メークロン 市場 線路 |
No
10622
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年06月26日
更新日
2024年02月10日
撮影場所
メークロン線路市場 / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA