メークロン線路市場に列車がやって来る時間が近付いてきていた。僕は再び線路の上に開かれた市場の中へ足を踏み入れた。相変わらず線路のすぐ両脇にお店が開かれていて、買い物客が線路の上を行き来している。至って普通の雰囲気だ。店員は普段通りに働いていて、買い物客はのんびりと線路を歩いている。列車が通る時間になったら、買い物客は線路から退いて、お店の人たちはテーブルや商品を動かしたりする必要があるのだけれど、まだ大勢が線路の上を歩いているし、そのような準備をしている店舗も見当たらない。市場の中を列車が走り抜けるのを楽しみにしているのは僕のような旅行者だけで、地元の人にとっては日々の出来事なのだ。
僕は地元の人のように何食わぬ顔で歩いていた。すると、向こうから年配の女性が歩いてきた。お店に並べられている商品を眺めながらゆっくりと線路の上を歩いている。両手で幾つものビニール袋を持っていた。夕飯の食材でも買いに来たに違いない。そのうち、この女性が歩いている線路の上を列車が走るのだ。そう思うと、冷静さを装いながらも、次第に胸は高鳴ってきていた。
2018年7月 人びと タイ | |
唐辛子 メークロン 市場 ビニール袋 女性 |
No
10639
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年07月08日
更新日
2024年02月08日
撮影場所
メークロン線路市場 / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA