市場の中を走る線路の上を歩き続けていた。そうは言っても、どこまでも続いている線路と違って、市場はそう遠くまでは続いていない。同じ場所を行ったり来たりしていただけだ。線路脇に並べられている商品を見ても、特に興味を惹かれるものもなく、僕はひたすら歩きながら列車が来るのを待っているのだった。買い物に訪れた地元の人びとはのんびりと線路の上を歩いている。長閑な雰囲気が周辺を漂っている。お店で働いている人びとものんびりと構えていて、列車が来る気配はまだ感じられなかった。
お母さんが僕の前を歩いていた。幼い女の子がお母さんの後を追っている。お母さんの歩くスピードは結構早い。お目当てのお店にまっしぐらなのかもしれない。そして、女の子は置いてけぼりを喰らわないように小走りだった。近所に住んでいる親子なのだろう。線路の上に開かれている市場なんて僕には珍しいもので、わざわざバンコクから足を伸ばしてやって来たのだけれど、この女の子にとっては見慣れたものに違いない。列車が来ることも心待ちにはしていないだろう。ひょっとしたら、市場とは線路の上で開かれるものと思っているかもしれない。
2018年7月 人びと タイ | |
バック・ショット メークロン 親子 線路 |
No
10645
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年07月12日
更新日
2024年02月08日
撮影場所
メークロン線路市場 / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA