ショッピング・モールと百貨店の違いがなんだかお分かりだろうか。百貨店が小売業というくくりに入るのに対して、ショッピング・モールは不動産業というくくりに入っているというのが違いだ。つまり、百貨店の商売は来たお客にものを売ることであって、ショッピング・モールの商売はテナントにショッピング・モール内の店舗を貸し出すことということだ。どれだけ建物が大きくても、敷地が広くても、中に小さなお店が並んでいると、そこはショッピング・モールである可能性が高い。
そう考えると、チルボンで通りかかった大きなビルはショッピング・モールだった。中に入ると、小さなお店が軒を連ねていて、その様子はまるで立体になった商店街のようだった。特に目を引くものはない、そう思った僕はざっと中を見渡して外に出ると、そこには厳しい顔をした男が立っていた。鋭い視線はまっすぐに僕に向かっていた。
男はベチャという自転車タクシーの運転手だった。ショッピング・モールから出てきた人を待ち構えていたのだ。そこにちょうど僕がやって来たというわけだ。男は僕がそのまま男のベチャに乗り込むのを期待している。その期待がビシビシと伝わってくる視線だった。でも僕は負けない。男のベチャに乗り込むことなく、さっきまで歩いていたジャラン・シリワンギ通りに戻ったのだった。
2021年1月 インドネシア 人びと | |
帽子 チルボン 客待ち 鋭い視線 リクシャワラー |
No
11778
撮影年月
2020年1月
投稿日
2021年01月06日
更新日
2023年08月29日
撮影場所
チルボン / インドネシア
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF