昔から鎌倉にある神社仏閣を訪れると、鎌倉へやってきたのだと実感するのが不思議だった。他の町にある神社仏閣も訪問しているのに、そのような感覚に襲われるのは鎌倉にある神社仏閣を訪れたときだけ。浅草寺を訪れても浅草にやってきたと実感しないし、靖国神社を訪れても九段にやってきたと感じることはないのに、鎌倉にある神社仏閣を訪れると鎌倉にやってきたと感じるのだ。
この日、鎌倉にある瑞泉寺へやってきて、本堂の裏にある庭園を眺めていると、長らく疑問に思っていたこの感覚の原因が不意に分かってしまった。ここの庭園は凝灰岩盤をほじって彫刻的手法で作られたもの。その岩盤をほじった感じが僕の中で鎌倉を連想させるのだと。
三方を山に囲まれた鎌倉では、山間や山肌に神社仏閣が建てられていることが多く、境内を整地する際に山肌を削っていることも多い。その結果、境内のあちらこちらで削られた岩盤を目にする。重機がないような昔に手作業で削られた味のある岩肌が僕の中の鎌倉らしさの正体だった。積年の疑問が解決した僕は、軽やかに瑞泉寺参道の石階段を下っていったのだった。
2022年3月 町角 神奈川 | |
参道 階段 石畳 寺院 |
No
12208
撮影年月
2022年1月
投稿日
2022年03月18日
更新日
2023年08月15日
撮影場所
鎌倉 / 神奈川
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35