朱色に塗られた鳥居や銅製の鳥居は珍しくない一方で、真っ白に塗られた鳥居はあまり目にしない。もっとも全く存在しないわけでもなく、訪れたことはないものの、福岡県糸島市にある桜井二見ヶ浦には海中に白い鳥居が建てられているというし、岡山県新見市にある済渡寺には白い千本鳥居が並んでいるという。
そのような珍しい白く塗られた鳥居が鎌倉の二階堂にある鎌倉宮にも建っていた。くすんだ色の多い境内で真っ白な鳥居はよく目立つ。興味深いと感じつつ、鳥居をくぐり拝殿でお参りする。けれど本当に面白いのは鳥居の色ではなく、鎌倉宮という神社の縁起だった。
鎌倉宮は後醍醐天皇皇子の護良親王を主祭神とする神社だ。つまり元弘の変で鎌倉幕府を倒すのに一役買い、征夷大将軍にもなった人間が鎌倉幕府のあった鎌倉に祀られているということ。しかも鎌倉幕府の開祖である源頼朝のお墓からそう離れてはいないところにだ。なんだか敵味方がすぐ近くに祀られているようなもので、死後も安らかに過ごせないのではないかと心配になってしまう。
この地に鎌倉宮が建立されたのは、神社の裏手にある土手の穴に護良親王がおよそ9か月間幽閉されていたという伝承があるためだ。そこで明治の世になってから、明治天皇が建武中興に尽力した親王の功を賛え親王を祀る神社の造営を命じたのだという。天皇の勅命で建てられた神社は、持仏堂もなくなってしまっている源頼朝のお墓よりも立派なものだった。
2022年3月 建築 神奈川 | |
鎌倉 お辞儀 神社 鳥居 参拝客 |
No
12207
撮影年月
2022年1月
投稿日
2022年03月17日
更新日
2023年08月15日
撮影場所
鎌倉 / 神奈川
ジャンル
建築写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35