タイヤを転がす男の子はタイヤから目を離すことなく僕の前を通り過ぎていった

タイヤ遊びをする男の子
タイヤ遊びをする男の子

ヒマラヤの麓にあるネパールの古都、バクタプルを歩いていた。赤レンガと見事な木彫りの装飾が施されたネワール建築が並ぶ旧市街は、まるで中世のテーマパークにでも迷い込んだかのような錯覚を起こさせる。しかし、観光客が押し寄せる中心部から少し離れると、石畳の敷かれた路地はひどく静まり返っている。建物の二階部分には洗濯物がだらしなく干してあるから、間違いなく誰かが生活しているはずなのだが、なぜか人の気配がほとんど無い。この街の住人は、昼間は一体どこに隠れているのだろうか。そんな無人の舞台のような通りを一人で歩いていると、前方から一人の男の子がやって来た。

その前方からやって来た男の子は、使い古されたゴムの輪っかを使ってタイヤ遊びに興じていた。棒で叩くのではなく、手で器用にバランスを取りながら、ゴツゴツとした石畳の上をコロコロと回転させている。男の子はひどく楽しそうだ。こうした輪っかを転がして走る遊びは、古代ギリシャの壺の絵にも描かれているほど歴史が古いらしい。世界中の子どもたちが昔からやってきたくらいだから、とても楽しい娯楽なのだろう。

その極めて原始的でお金のかからない立派な娯楽に夢中な彼の姿を、僕は少し離れた場所からぼんやりと眺めていた。周囲には見事な装飾が施された窓がいくつも並んでいるが、そこから外を覗き込んでいる大人の姿は見当たらない。静まり返った古い町並みの中で、男の子だけがゴムの擦れる音だけを響かせて駆け抜けていた。

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ENGLISH
2009年12月 ネパール 人びと
路地 バクタプル 男の子 旧市街 石畳 タイヤ 世界遺産

PHOTO DATA

No

3504

撮影年月

2009年6月

投稿日

2009年12月18日

更新日

2026年05月26日

撮影場所

バクタプル / ネパール

ジャンル

スナップ写真

カメラ

CANON EOS 1V

レンズ

EF85MM F1.2L II USM

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