古今東西、個人のコレクションが美術館になっているところは多い。ポーランド初の美術館であるクラクフにあるチャルトリスキ美術館の収蔵品はチャルトリスキ家のものだし、ニューヨークにあるグッゲンハイム美術館は鉱山業で財を成したグッゲンハイム家のソロモン・ロバート・グッゲンハイムのコレクションがベースになっている。日本でもブリヂストン創業者の石橋正二郎のコレクションが京橋にあるアーティゾン美術館の基礎だ。収集したコレクションを美術館で一般公開するのは、資産家の社会貢献でもあるのだ。
東京の白金台にある松岡美術館もそのような個人コレクションだったものをベースにした美術館だ。この美術館の設立者は松岡地所創立者の松岡清次郎という人物。松岡地所という会社が何をして儲けていたのかは分からないものの、多くのコレクションを収集していたのをみるとかなり儲かっていたようだ。ガンダーラ石造彫刻もあれば、陶磁器も日本絵画もフランス近代絵画も所蔵していて、そのコレクションは多岐にわたっている。
写真はその幅広いコレクションのうち、古代ギリシア・ローマ彫刻の一部だ。展示室の中に入ると、ガラスケースに頭部が静かに並べられていた。一点を見つめたままピクリとも動かない頭たちは、まるでナルキッソスのようにガラスに映った自分の姿に息を飲んでいるかのようだった。
2022年4月 静物 東京 | |
ガラス 博物館・美術館 反射 彫刻 白金台 |
No
12245
撮影年月
2022年2月
投稿日
2022年04月24日
更新日
2023年08月15日
撮影場所
白金台 / 東京
ジャンル
静物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35