100年近く前に建てられた旧朝香宮邸の中を順路に従って進んでいくと、1階から2階へ上り、再び1階に戻って廊下の先にある自動ドアを抜けると新館へ続く通路へと抜けられる。古い洋館である本館と打って変わって本館の奥にある新館は2009年に建てられた近代的な建物だ。カフェもあるし、テラスにはテーブルが置かれている。
東京都庭園美術館はアール・デコ様式で建てられた旧朝香宮邸が展示スペースになっているだけでなく、新しく建てられた新館にも展示スペースが設けられている。そのためひとつの美術館の中で雰囲気の異なるふたつの美術館を訪れたような気分になれる、お得な美術館だ。
本館は実際に皇族の居所だったところだ。そのような空間に作品が展示されるのは近代以前のヨーロッパのよう。作品が室内装飾やほかの多くの調度品などと同列に扱われていて、作品は壁に床に並べられている。近代アートならすぐに調度品と作品の区別がつくけれど、アール・デコの美術品を展示されたら調度品と作品を見分けるのは難しいに違いない。
そのような本館とは一線を画して、新館はホワイトキューブだ。まっさらな壁が伸び、室内の装飾は極力排除されている。部屋の中に調度品の類いはなく、並べられているのは作品だけ。ここではどれが作品でどれが調度品か悩むことはない。たとえ古びた財布が落ちていたとしてもそれはインスタレーションだ。気をつけろ。
2021年6月 人びと 東京 | |
椅子 博物館・美術館 白金台 テーブル |
No
11949
撮影年月
2020年11月
投稿日
2021年06月26日
更新日
2023年08月22日
撮影場所
白金台 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
RICOH GR III