仏像がいくつも展示されている博物館を訪れるたびに、一口に仏像と言ってもその顔立ちはさまざまだと実感する。この日にやって来た東京の白金台にある松岡美術館でも、性懲りなく同じように思ってしまった。古代東洋彫刻の展示室に並べられている、造られた場所や時代が異なる仏像たちの顔立ちはバラエティに富んでいる。
現在のパキスタン北西部にあったガンダーラあたりで造られた仏像の雰囲気は日本でいう一般的な仏像とはかなり違う。口髭を蓄えていて、かなりダンディなだけでなく、顔立ち自体が西洋人に近くバタ臭い。もっともお釈迦様自身が南アジア生まれの人。濃い顔立ちをしていたとしても何ら不思議ではないものの、全体的にマッチョな感じがして、本来の「真理に目覚めた者」・「悟りを開いた者」を表現しきれていないようにも思えてしまう。
それが時を経て、中国で仏像が造られるようになると、ガンダーラの仏像が持っていたマッチョさが綺麗サッパリなくなってしまう。とても柔和な顔になるのだ。中国で唐時代に造られたという如来頭部を見ると、ダンディだった顔立ちはすっかり丸くなり、目を閉じて静かに瞑想をしているかのよう。人生観が変わるくらい何か辛いことでもあったのではないかと心配になってしまうくらいの変化だ。
2022年4月 静物 東京 | |
仏像 顔 博物館・美術館 白金台 |
No
12246
撮影年月
2022年2月
投稿日
2022年04月25日
更新日
2023年08月15日
撮影場所
白金台 / 東京
ジャンル
静物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35