フランスの彫刻家オーギュスト・ロダンの「考える人」は日本でもっとも有名な彫刻作品なのではないかと思う。そう思うのはタレントでもないただの彫刻なのに、何回もテレビCMに使われたからだ。数年前にも某証券会社のCMに起用されていたし、彫刻そのものが登場しなくともそのポーズをモチーフにしたCMが作られていたりする。考える人は彫刻界のセレブなのだ。
テレビCMに登場するから、広告業界だけで引っ張りだこであるかのようにも思えてしまうものの、彫刻そのものもかなりの人気者だ。なにせ日本国内だけで4体の「考える人」が置かれていて、世界に目を向けると30体近くの「考える人」が今日もどこかで考えている。アメリカで考えているのもあれば、フランスで考えているのもいるし、ブラジルでも考えていたりする。
写真の「考える人」は、日本にある4体のうちのひとつである東京の国立西洋美術館所蔵のものだ。超のつくほどの有名な芸術作品も、なぜかここでは扱いはぞんざいで、ル・コルビュジエが設計した美術館の建物の中ではなく、前庭に置かれている。雨風に晒されている姿を眺めていると、すぐに頭の中に宮沢賢治が現れて「雨ニモマケズ、風ニモマケズ」と始まってしまうのは「考える人」がすっかり日本に馴染んだ証なのだろうか。
2022年11月 町角 東京 | |
博物館・美術館 彫刻 上野 傘 |
No
12404
撮影年月
2022年7月
投稿日
2022年11月28日
更新日
2023年08月10日
撮影場所
上野 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 1.8/85