20年以上前に早稲田の辺りに住んでいたことがある。駅前から伸びる夏目坂には夏目漱石生誕の地を示す碑が立っていて、その場所の住所「喜久井町」は夏目家の家紋「井桁に菊」に由来していることなどは当時から知っていて、この辺りが夏目漱石に縁のある場所なのは知っていたものの、晩年もこの辺りで過ごしたのは知らなかった。早稲田南町に建つ新宿区立漱石山房記念館は、漱石が晩年を過ごした「漱石山房」のあったところに建てられているのだそうだ。
すぐ近くに住んでいたはずなのに、漱石山房記念館は全く記憶にない。訪れたこともなければ、前を通りかかった覚えさえない。それもそのはず、この記念館が開館したのは2017年のこと。道理で僕の記憶に微塵も残っていないわけだ。意味もなく安心して、記念館へ入っていく。中には夏目漱石の書斎が復元されていたりして面白い。
意外だったのは、この記念館が日本初の本格的な漱石記念館だということだ。日本文学といえば太宰治を避けることはできても、夏目漱石は避けられないだろう。それほどの作家なのに今までどこにも記念館が建てられることはなかったのだ。富国強兵という明治日本の大目標の前では、文学なぞ取るに足らない些末なお遊びだと思われていたということだろうか。
2022年6月 町角 東京 | |
カップル ガラス 博物館・美術館 早稲田南町 |
No
12285
撮影年月
2022年4月
投稿日
2022年06月03日
更新日
2023年08月13日
撮影場所
早稲田南町 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35