市場の中を歩いていても潮の香りを感じられないけれど、ここチルボンは海洋貿易で栄えた港町だ。今でも主要産業は漁業でカノマン市場という昔ながらの市場では海産物が多く売られている。写真のお店はカノマン市場で営業していた魚屋だ。
店先にはいくつものトレイが並べられていて、それぞれに異なる海産物が載せられていた。何も買うつもりがないのに市場にやって来た者の礼儀として、買わなくても売られているものに興味を示そうと思い、魚屋の店頭をじっと眺める。大抵の場合、魚の種類なんて分からない。見ただけで魚の種類がわかれば小躍りしたくなるくらいだ。そういう調子なので、ここでも陳列されている魚が何なのかは分からなかった。
しばらくすると、僕と店頭の魚の間にヒジャブをかぶった女性が入って来た。僕と違って魚を見るだけでなく、キチンと購入する正真正銘の買い物客だ。視界を少々遮られても仕方がない。大きな背中越しに何を買うのだろうと興味深く見ていたのだけれど、なかなか買う魚を決めてくれなかった。魚屋の店員もこの女性客に無関心で、なんどか気不味い空間に巻き込まれてしまったような気がした。
2021年2月 インドネシア 人びと | |
バック・ショット チルボン 魚売り 市場 お盆 |
No
11811
撮影年月
2020年1月
投稿日
2021年02月08日
更新日
2023年08月29日
撮影場所
チルボン / インドネシア
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF