北には巨大な中国が居座り、西には広大なインド亜大陸が控えている。そんな厄介な地理的条件の狭間にあるため、ミャンマー料理というものは双方からの影響を否応なく受けているようだ。主食の米と一緒に食べるのは「ヒン」と呼ばれる油っこいカレーのような副菜で、これは明らかにインドの匂いがする。その一方で「モヒンガー」などのナマズで出汁をとった米粉の麺類も好まれており、こちらには中国の影が見え隠れする。大国の食文化が入り混じって、なんだかひどく雑多で複雑な食卓である。
そのなんだかひどく雑多で複雑な食卓事情について調べてみると、影響を与えているのは中国やインドばかりではないらしい。シャン族やモン族といった少数民族の食文化も色濃く反映されているそうだ。シャン族はタイ人と同系統だからタイ料理の要素もあるらしいが、素人の僕に言わせればシャン族もモン族もさっぱり見分けがつかない。そもそも彼らの伝統的な食生活と言われても、ちっともピンとこないのだから仕方がない。他人の国の複雑な歴史など、旅人にとっては適当に美味しいもので腹が膨れればそれで十分である。
その適当に美味しいもので腹が膨れればそれで十分だと思いながら、タニンの市場をうろついていた。すると、通路の真ん中にプラスチックの小さな椅子を机代わりに置き、頬に日焼け止めのタナカを塗った女性たちが楽しそうに商売しているのを見つけた。銀色のお盆に積まれているのは、緑の葉で三角に包まれた粽(ちまき)である。これは分かりやすく中国文化の遺物だろう。しかし、中身は豚肉や椎茸ではなく、熟したバナナと甘いココナッツが詰め込まれているらしい。日本人が想像する塩気のある粽とは随分と勝手が違った。
| 2019年5月 ミャンマー 人びと | |
| 市場 笑顔 露天商 タナカ タニン お盆 若い女性 |
No
11022
撮影年月
2018年9月
投稿日
2019年05月22日
更新日
2026年05月21日
撮影場所
タニン / ミャンマー
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA