​​聖徳記念絵画館は想像していた以上に立派な建物だった

聖徳記念絵画館の正面
聖徳記念絵画館の正面
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存在は知っているものの、訪れたことのない場所って結構多い。東京に住んでいても、東京タワー東京スカイツリーに登ったこともなく、築地市場で魚を買ったこともなく、原宿竹下通りをプラプラ散策したことのない人って結構いると思う。僕にとって、そのような場所は神宮外苑にある聖徳記念絵画館だった。

ここは幕末から明治時代までの明治天皇の生涯の事績を描いた絵画だけを展示しているというちょっと変わった美術館だ。テレビなく写真も一般的ではない時代に、明治天皇の業績を広く後世に伝えるために企画されたものなのだろう。スタッフが選んだ重要な歴史的出来事を、著名な奉納者が当代一流の画家に描かせたものを奉納したというスタイルになっている。画題と縁故のあるものによる奉納もあり興味深い。

大政奉還という絵画を奉納したのは、大政奉還の当事者であった最後の将軍徳川慶喜の孫だった徳川慶光だ。新政府と戦うことなく政権を返上した慶喜に対して、徳川将軍家の中でいろいろと否定的な意見もあったと思うのだけれど、孫の世代からの評価はいかがなものだったのだろうか。祖父が違う対応を取れば今とは違う世の中で、事実上天皇家よりも徳川家の方が上だったと忸怩たる思いで奉納したのだろうか。それとも喜んで奉納したのだろうか。絵画が完成した年をみると1931年。当事者だった慶喜はとうに亡くなり、大日本帝国は天皇のもとで大いに繁栄している。大政奉還なんて、もう遠い昔の出来事のような扱いだったのかもしれない。

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ENGLISH
2022年6月 建築 東京
ファサード 神宮外苑 博物館・美術館

PHOTO DATA

No

12309

撮影年月

2022年4月

投稿日

2022年06月27日

更新日

2023年08月12日

撮影場所

神宮外苑 / 東京

ジャンル

建築写真

カメラ

SONY ALPHA 7R II

レンズ

ZEISS LOXIA 2/35

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