路地を歩いていると、その先にまたしても寺院が見えてきた。規模は小さく、外観もどこか薄汚れている。通りすがりの旅行者である僕には、この寺院がどの宗教に属するものなのか見当がつかない。「神仏壇」という看板が掲げられているのが目に入った。「仏」の字があるから仏教の寺院かと思いきや、「神」の字もあるのでそうとは限らない。どちらにせよ、この寺院は他の賑わいを見せる寺院とは異なり、ひっそりと静まり返っている。
参拝客の姿はまったく見当たらない。入り口の前には香炉が置かれているが、煙は上がっておらず、参拝の気配は感じられない。さらに入り口には柵がしてあって、中に入ることもできないようだ。この様子では、一般の人が訪れる場所というよりも、特定の一族の氏神様が祀られている可能性もある。
こうして人気のない寺院を前にして思うのは、ここに祀られている神様もきっと暇を持て余しているだろうということだ。人々が訪れて願い事をしないのであれば、神様にとっては退屈な日々なのかもしれない。とはいえ、こうした静寂の中に漂う独特の雰囲気は、賑やかな寺院では味わえないもので、立ち止まって眺めているだけでなんとなく引き込まれてしまうのだった。
2017年2月 建築 台湾 | |
路地 ファサード 香炉 提灯 台南 寺院 |
No
10053
撮影年月
2016年9月
投稿日
2017年02月26日
更新日
2025年01月23日
撮影場所
台南 / 台湾
ジャンル
建築写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA