台南の迷路のような路地を抜けると、目の前に広がったのは整然とした大通りだった。ほんの一瞬で路地探索が終わってしまったのは少々拍子抜けだった。大通りには車やバイクがひっきりなしに走っている。バイクの数が少し多い気はするが、日本の都市部とそれほど大きく変わるわけでもない。唯一の違いといえば、通りを彩る看板がすべて繁体字で書かれていることくらいだろう。この整然とした景色の中では、路地裏のような雑多な雰囲気が恋しくなってしまう。
交差点に立ち止まり、ぼんやりと流れる往来を眺めていた。青信号に変わると、バイクが一斉に動き出す。整然とした動きで、誰もが交通ルールを守り、秩序を崩さない。見ていて安心感はあるものの、その予測可能な流れには少し退屈さを覚える。混沌としたエネルギーや予測不能な出来事が好きな僕にとって、この場面はどこか物足りなかった。
それでも、カメラを取り出して写真を撮る。撮るものが平凡だとしても、その場に立つことで切り取れる何かがあるかもしれない。整然とした景色の中に、ほんの少しでも面白さを見つけようと、シャッターを押し続けた。
2017年2月 台湾 乗り物 | |
交差点 バイク 看板 台南 往来 |
No
10054
撮影年月
2016年9月
投稿日
2017年02月27日
更新日
2025年01月23日
撮影場所
台南 / 台湾
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA