山門へ続く階段を親子連れが仲良く登っていた。写真ではよく見えないけれど、山門に掲げられている扁額には赤塚山と書いてある。ここは東京の板橋区赤塚にある乗蓮寺。東京大仏とも呼ばれるこの寺院の山号は赤塚山なのだ。
山門前に急な階段が設けられているとはいえ、赤塚山という山号を見ると違和感を少々感じてしまう。ここは山なのだろうか。そういえばまったくの平地に建てられている浅草寺は金龍山という山号を持っているし、同じように平地に建っている川崎大師も金剛山という山号を持っている。平地にあるのに山号とはなんぞや。
山号とは寺院名に冠する称号。仏教生誕の地であるインドでは山中に精舎と呼ばれる修道施設・僧院や寺院を設ける伝統があったのだという。その後仏教が伝播した中国で山中に建てられた寺院に所在を示す山名を付して、山名と寺名を連称して呼ぶようになり、山名がそこに所在する寺院の別称にもなったのだという。
日本で山号が広く用いられるようになったのは、鎌倉時代になってからのこと。禅宗の寺院が中国の五山制度にならって平地の寺院にも山号を冠するようになってからだ。いわゆる鎌倉五山だ。それから平地に建っていても山号を用いる寺院が増えたのだという。つまるところ、山号とは寺院が建っている場所の地形には関係がない単なる称号なのだ。
2021年10月 町角 東京 | |
赤塚 門 親子 階段 寺院 |
No
12063
撮影年月
2021年4月
投稿日
2021年10月18日
更新日
2023年08月17日
撮影場所
赤塚 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF