幼い頃は大好きだったのに、大きくなった今ではすっかり地表の上を観察したり、石をひっくり返して裏を見たりしなくなった。ダンゴムシの丸まり方やアリの行列を眺める時間はなくなり、その代わりに本を読んだり町並みを観察したりするようになったのだ。
僕は地面とにらめっこしなくなったとはいえ、今でも虫が這っている地面は子どもに人気だ。東京の堀之内にある妙法寺の山門の前でも、地面とにらめっこしている幼い子どもの姿があった。お母さんも横にいっしょにしゃがんでいて、親子で仲良く地面とにらめっこしている。
1600年代初頭に建立された妙法寺は日蓮の祖師像が厄除けにご利益があるとされ、江戸時代の昔から信仰を集めている寺院だ。門前の小僧ならぬ、門前で虫観察しても何もご利益を得られない。少しの間だけでも腰を上げて祖師堂にお参りすれば、厄除けもできていいのにと思うけれど、子どもは地面に夢中でお参りするような気配は微塵もない。もっとも僕も巨大な絵馬を見たり、鉄門を見たり、常夜籠の意匠を見たりして、なかなか祖師堂にお参りしなかったので、同じようなものかも知れない。
2022年4月 人びと 東京 | |
門 堀之内 親子 石灯籠 寺院 |
No
12248
撮影年月
2022年2月
投稿日
2022年04月27日
更新日
2023年08月15日
撮影場所
堀之内 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35