壁と住居に挟まれた細い路地だった。屋台で商売する人がこの辺りに住んでいるのだろう。壁際には営業していない移動式屋台が見える。人気のない路地で出番を待っているのだ。
誰もいない路地を歩いていると、どこからともなく猫が現れた。建物と壁に挟まれた場所は、よほど身軽な人間でもない限り進む進行方向に選択肢はない。僕が進む道を自主的に選べるのは交差点にやって来たときだけだ。そのような僕に対して猫は自由自在だ。壁があろうとなかろうと、交差点であろうとなかろうと、自分の好きな道を進める。この猫も高い壁の向こうからひょっこりやって来たのに違いない。
僕がジャカルタの住宅街を道をウロウロして平面でしか捉えられていない一方で、猫は立体的に捉えているのがちょっと羨ましい。仮に僕の特技がパルクールで立体的に町を捉えていたとしても、自由にどこにでも入っていけるのは猫の特権であって、人間である僕には認められていない。もし僕が壁なんて屁とも思わず乗り越えることができる人間だとしても、僕がやったら単なる不法侵入になってしまうのだ。その点、猫は地元の日常を間近に見られて羨ましい。
2020年12月 動物 インドネシア | |
路地 猫 食べ物の屋台 ジャカルタ 壁 |
No
11755
撮影年月
2020年1月
投稿日
2020年12月10日
更新日
2023年08月30日
撮影場所
ジャカルタ / インドネシア
ジャンル
動物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF