名称の通り初台にあるオペラシティには新国立劇場があってオペラ劇場と規模のちょっと小さい中劇場と小劇場の3つの劇場が設けられているだけでなく、高層ビルの部分にもコンサートホールがある。ここは劇場とコンサートホールの密集地帯だ。しかも文化施設はそれだけでない。ここには美術館もふたつある。オペラシティは文化施設のてんこ盛りで、建設当時の日本経済の勢いを感じてしまう。
この日はふたつある美術館のうち、東京オペラシティアートギャラリーに来ていた。あまり有名ではないけれど主に現代美術の企画展を催している美術館で、舟越桂や李禹煥の作品も収蔵している。これらのコレクションは寺田小太郎が収集を開始したもので、その篤志によって東京オペラシティアートギャラリーが収蔵するに至ったのだという。それ故に「寺田コレクション」と呼ばれている。
ここで気になるのはコレクションをしていた寺田小太郎という人物だ。名の知れた起業家でもなく、WIKIPEDIAにも項目は設けられていない。謎の人物なのだ。調べたところ、この人物は東京オペラシティとその周辺の大地主だったらしい。武蔵野美術大学のホームページによると、寺田家は応仁の乱のころに近江の国から出てきて500年続いている一族で、昔は初台から杉並の近江八幡まで他人の土地を踏まずに行けたというくらいの土地持ちだったようだ。その一員である寺田小太郎が、オペラシティに土地を提供して得た資金で購入したコレクションを、アートギャラリーに寄贈しているというのが真相のようだ。メディアに登場しなくとも、由緒あるお金持ちって存在しているのだと思わされるエピソードだ。
2024年7月 町角 東京 | |
初台 博物館・美術館 階段 |
No
12612
撮影年月
2023年11月
投稿日
2024年07月14日
撮影場所
初台 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
RICOH GR III