個展と聞くと画家や写真家あるいは造形作家の作品が展示されている空間を思い浮かべるものの、この日にやって来た個展は画家のものでもなく、写真家のものでもなく、造形作家のものでもなく、歌人の個展だった。僕は埼玉の所沢にある角川武蔵野ミュージアムで開催されていた俵万智の個展にやって来たのだった。
歌人の個展なんて初めてだ。公式ページに「初めての本格的個展」と記載されているくらいだから、俵万智ほどのキャリアのある歌人であっても個展を開催するのは珍しいのだろう。歌人の作品は紡いだ言葉だけ。それを展示するとはいかに。単純に考えると資料の展示だけになってしまいそうだ。
個展が開催されているギャラリーに足を踏み入れると、そこにはもちろん書籍やインタビュー記事などの資料も展示されていた。けれどもそれらは脇役で主役は明らかに短歌だった。俵万智の作品としての言葉があちらこちらに印字されているのだ。柱にも置いてあるオブジェにもユラユラ揺れるカーテンにも言葉が記されていて、空間に言葉が漂っている。短歌に囲まれながら思った。これは正真正銘の短歌の個展だ。
2022年3月 人びと 埼玉 | |
鏡 博物館・美術館 反射 所沢 |
No
12191
撮影年月
2022年1月
投稿日
2022年03月01日
更新日
2023年08月15日
撮影場所
所沢 / 埼玉
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35