初台駅からほど近くにある喫茶店に入った。ここはちょっと変わった喫茶店だ。店内は静けさに包まれていて、話をしている人は誰もいない。なぜならここは読書する人のための喫茶店だから、話をするのは許されないのだ。店内にいた人たちは誰もが本を開いて静かに読書に耽っている。僕も本棚から本を取ってソファに腰を下ろすと、他の人と同じように読書を始めた。読書するための喫茶店だけに、店内の本棚には本が並べられていて自由に読めるようになっている。
静かに本を読んでいると、時間も調子を合わせて静かに流れていく。ふと、ページを捲る手を止めて見上げると、壁の棚にも本が飾ってあるのに気がついた。大判の本の表紙では裸の女性がポーズを決めている。荒木経惟の写真集だ。頭の後ろで手を組んだ女性は、僕の視線なぞもろともせず、一言も発することなく静かな店内をじっと眺めていた。
2019年10月 町角 東京 | |
本 カフェ 初台 Tシャツ 壁 窓 |
No
11220
撮影年月
2019年4月
投稿日
2019年10月03日
更新日
2023年10月23日
撮影場所
初台 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
RICOH GR III