神社に参拝に訪れると参道を歩いて拝殿なり神殿に向かうわけだけれど、その際に正中と呼ばれる参道の真ん中を歩いてはいけないとされている。これは正中が神様の通り道とされているためだ。
似たような禁忌は中国の北京にある紫禁城を訪れた際にも聞いた。もともとが庶民の立ち入りを禁じた天帝の所在地という意味の紫禁城で、正門である午門には5つの門があるのだけれど、中央の中門は皇帝専用で他の人間は通るのを許されなかったのだという。
話は東京に戻ってきて靖国神社だ。九段下駅から靖国神社に向かって大鳥居を越え進んでいくと、参道の真ん中に大きな銅像が立っているのが嫌でも目に入ってくる。正中にどしんと構える銅像は高い台座の上で意気揚々と遠くを眺めている。日本陸軍の創始者と言われる大村益次郎の像だ。
神様の通り道である正中に大仰に立ちはだかってしまっていいのだろうかとちょっと疑問に思うものの、国立国会図書館に収蔵されている近世名士写真に記載されている大村益次郎の肖像を見て納得。頭頂部分が人並み以上に大きく、異形の人と呼ぶのに相応しい頭の形をしている。単なる人間とは思われていなかったのかもしれない。
2021年9月 静物 東京 | |
参道 九段 神社 像 鳥居 |
No
12017
撮影年月
2021年2月
投稿日
2021年09月02日
更新日
2024年09月06日
撮影場所
九段 / 東京
ジャンル
静物写真
カメラ
RICOH GR III