緩やかに弧を描いて登っている参道の先に本尊である十一面観世音菩薩を安置した金昌寺の観音堂が建っている。もともとは朱色に塗られていたようなのだけれど、あちらこちらの色が剥げてしまっている。手で触れられるところは剥げてしまったようだ。でもそれが却って歴史を感じさせている。
観音堂の正面に立つと見上げても、扉はしっかり閉まっていて、中に鎮座している十一面観世音菩薩を拝むことは叶わない。施無畏と書かれた扁額が掲げられていて、鈴緒が天井からぶら下がっているばかりだ。残念と思いながら、視線を横に向けるとそこに柔和な顔をした観音様が鎮座していた。
この観音様は寺院の本尊とは別の観音様で「子育て観音像」と呼ばれるもの。信徒から寄進された仏像なのだという。そのため縁側に祀られていて頭上に屋根はあるものの、建物の中に安置されていないようだ。同じ観音様なのに十一面観世音菩薩とはかなり扱いが違うけれど、それも仕方がない。なにせ本尊は東大寺の「四聖」のひとりにも数えられている行基菩薩の作と言われているものなのだから。
2021年12月 埼玉 静物 | |
仏像 秩父 扁額 寺院 |
No
12114
撮影年月
2021年10月
投稿日
2021年12月08日
更新日
2023年08月16日
撮影場所
秩父 / 埼玉
ジャンル
静物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35