秩父でコンクリートと並ぶ産業なのは絹織物業だ。中でも銘仙と呼ばれる平織した絣の絹織物が秩父の名産だ。北関東には銘仙の産地が多い。伊勢崎と秩父、桐生、足利、八王子を合わせて五大産地と言われている。
1950年代に最盛期を迎えた銘仙も、すっかり洋装が当たり前になった現代では影が薄い。手をこまねいているとロストテクノロジーになってしまうという危機感が、西武秩父駅からそれほど離れていないところにちちぶ銘仙館という資料館を建てさせたのだろう。ここでは貴重な資料の展示と伝統的な技術の伝承を目的とした活動が行われている。
この資料館は1930年に建築された旧埼玉県秩父工業試験場だったところ。味のある建物で外付けになっている廊下を進んでいくと、奥の部屋から人の声が聞こえてきた。中を覗くと、人が集まって何かをしている。縦糸に型紙を使って模様をつける秩父銘仙特有の工程であるほぐし捺染という作業をしていた。木の枠を押さえる人も、模様を付ける人も真剣で一言も喋らない。来館者に作業を見学させるというより、実際に伝統技能を習得している最中といった感じだった。
2021年12月 人びと 埼玉 | |
秩父 職人 博物館・美術館 布地 |
No
12112
撮影年月
2021年10月
投稿日
2021年12月06日
更新日
2023年08月16日
撮影場所
秩父 / 埼玉
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35