家の近所に昔ながらのスーパーマーケットがあった。大資本が経営しているものではなく、八百屋と青果店、魚屋、惣菜屋、生花店などが同じ屋根の下に集まって、ひとつのスーパーマーケットを構成しているものだった。自分が幼かった頃は、このような寄せ集めのスーパーマーケット(場所によってはデパートを名乗っていたような気がする)があったけれど、ほとんどは大資本に駆逐されてしまった。今でも営業しているところも、いくつか脳裏に浮かぶものの、活気がないところばかりだ。お店自体がもう高齢化しているのだ。
そのような中、武蔵小山の住宅街にあるこのスーパーマーケットは建物こそボロボロだけれど、活気に溢れていた。売らていたものは新鮮で、周辺のスーパーマーケットより安く、多くの買い物客が訪れていた。買いに来た人を見ていると、キュウリやトマトを箱買いしていく人も多かったから、レストランなどを経営しているような業者の人も多かったようだ。
賑わっていたスーパーマーケットにも終わりが近づいてきているという噂は耳にしていたものの、閉店の発表もなく、このまま営業を続けていくのだと思っていた。でも気がつくと、閉店の日取りが発表され、その日が来ると本当に閉店してしまった。今ではスーパーマーケットだったところには何もなくガランとしている。ここに多くの野菜と笑顔があったのがまるで嘘のようだ。
2021年8月 人びと 東京 | |
市場 武蔵小山 値札 笑顔 野菜 |
No
11988
撮影年月
2021年1月
投稿日
2021年08月04日
更新日
2023年08月19日
撮影場所
武蔵小山 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
RICOH GR III