住宅街の真ん中で、駅から近い訳でもなく、幹線道路沿いにある訳でもないところにスーパーマーケットがある。ここは賑わっている。売っているものの質が良く、それに安い。知る人ぞ知る地元で人気のスーパーだ。僕もよくここにやってくる。でも僕が最も惹かれるのは値段でもなく、品質でもない。ここの雰囲気だった。
古びた建物で野菜や果物が昔ながらのやり方で売られている。値札はどれもこれも手書きで、時折店員たちの売り口上が聞こえてくる。賑わっているスーパーをウロウロしていると、僕は東南アジアのどこかにある市場にやって来たような気になる。家から歩いてたった10分くらいのところにあるスーパーなのだけれど、ここに来ればつかの間、僕は旅行気分に浸れる。
でも、そのように旅行気分を求めてやってくる人は少数派だ。野菜売り場に立っていた写真の男性は険しい顔をしていて、つかの間の旅をエンジョイしているようには思えない。ほとんどの人にとって、この昔ながらのスーパーマーケットに漂っている空気は日常生活そのものだ。
2019年9月 人びと 東京 | |
髭 ニット帽 男性 市場 武蔵小山 値札 野菜 |
No
11207
撮影年月
2019年3月
投稿日
2019年09月24日
更新日
2023年10月27日
撮影場所
武蔵小山 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
RICOH GR III