個人的な見解なのだけれど、かつて繁栄したものの、その後衰退してしまったところほど昔のものが残っている。繁栄したことのないところに、お金をかけた豪奢なものが作られることは少ないし、古来から繁栄し続けている場所は古いものが更新されて残っていないことが多い。江戸時代に幕府が開かれて、明治維新後も首都であり続けた東京には高層ビルがいくつも建っているけれど、江戸時代の町並みを感じさせるものがあまり残っていないのは町の新陳代謝が生じているためなのだ。
そのように考えると、明治維新後に本府になった札幌の海の玄関口になった小樽には古いものが多く残っている。第二次世界大戦前は金融機関や船舶会社、商社などが進出して北海道経済の中心都市として繁栄を謳歌したものの、戦後に札幌が北海道の中心都市になると小樽は衰退の一途を辿ってしまう。その結果、古いものが更新されることなく残っているのだ。
写真の鉄塔も小樽に残っている古いもので、小樽住吉神社からほど近いところにある鋼鉄製の火の見櫓だ。1927年に建てられたものだというから、もう100年近く小樽を見守り続けているという。その老体はすでにボロボロ。もう使われていないようだけれど、保存修繕に向けて活動が行われているようだ。地味なものだけれど、ぜひ後世に残してほしい。
2024年2月 建築 北海道 | |
電線 小樽 空 塔 |
No
12564
撮影年月
2023年6月
投稿日
2024年02月17日
撮影場所
小樽 / 北海道
ジャンル
建築写真
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF