歩いているうちに天秤棒を担いだ男はどこかへ消えてしまい、路地は壁に挟まれた人気のないものになっていた。脇に洗濯物が干してあるものの、人は歩いていないし、生活感も漂っていない。
そのような路地に幼い男の子が現れた。男の子はちょっと離れたところから僕の様子を窺っている。他の子どもたちと同じようにカメラに興味を持ったのだろう、そう思った僕は男の子にカメラを向けようとした。けれど、これがなかなかうまくいかない。男の子はじっとしてくれないのだ。カメラを向けると、男の子はその瞬間を待っていたかのように逃げていく。
ジャカルタの路地で始まった突然のおにごっこ。カメラを向けると、男の子は見計らったように走り出す。そして、ファインダーの中には男の子の小さな背中しか無いのだった。タッタカタッタカ、小走りに逃げていく男の子は楽しそうだ。本気で追えば、すぐに男の子に追いつくことは可能だ。でも、それでは面白くないと思い、手加減して追いかけていたら、男の子の姿は忽然とどこかへ消えてしまった。
目を離したすきにどこかの建物に入ったのだろうけれど、ちょっとしたホラーのようだった。
2020年9月 インドネシア 人びと | |
路地 バック・ショット 男の子 ジャカルタ 洗濯物 走る スボン |
No
11679
撮影年月
2020年1月
投稿日
2020年09月25日
更新日
2023年08月30日
撮影場所
ジャカルタ / インドネシア
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF