ラック・ムアンにある小さな祠の中は静かだった。でも、参拝客は次から次へとやってくる。ここに祀られているチャオポー・ラック・ムアンという守護神は地元の人に大人気なのだ。参拝客は入ってくるやいなや、黄金に輝く二本の柱に向かってお祈りを始める。そして、終わると無言のまま外に出ていくのだった。ここでは無駄話はおろか声を上げながら読経をしている人もいない。このような聖域にはやはり静けさが相応しい。僕も静寂さの中に紛れ込んで、参拝客の様子を眺めていた。
見ていると、参拝客は皆お供え物の花を持ってきている。手ぶらで祠に入ってきた僕は、なんだか上司の家に何も持たずに遊び行ってしまったかのような居心地の悪さを感じてしまう。この花はプアンマーライといい、タイでは一般的なものだ。寺院を訪れると門前で必ずと言っていいほど売られている。その一方で、ここには線香を持ってくる人はいないようだ。お参りする際には日本でもタイでも必須と言っていいものなはずなのに誰も持っていない。ひょっとしたら、この祠の中で火を取り扱うのが禁止されているのかもしれない。
2019年12月 人びと タイ | |
バンコク 黄金 柱 神社 参拝客 |
No
11322
撮影年月
2019年9月
投稿日
2019年12月14日
更新日
2020年09月25日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
RICOH GR III