バンコク中心部にある高級ホテルの敷地の端に小さな祠が建っている。エラワン廟だ。国内にイスラム教徒もいるけれど、タイ国民の大多数は仏教徒でタイは仏教国とされているにもかかわらず、ここに祀られているのは4つの顔に4本の腕を持ったヒンドゥー教の創造神であるブラフマーだ。ちょっと不思議。
仏教はヒンドゥー教に対するカウンターカルチャーとして始まったものだからヒンドゥー教と関係は深い。日本でもブラフマーは梵天という名前で仏教の守護神の中に取り込まれている。とはいえ仏教国の首都のど真ん中にブラフマーを祀った祠が設けられていて宗教的な共存状態が成立しているのは、「神王思想」というものが深く関わっているのだという。
神王思想とは国王がヒンドゥー教の神であるシヴァ神もしくはビシュヌ神の化身とする考え方だ。クメール文化の影響でタイの支配層も王権を正当化するために、この理論を採用したらしい。そのため政府機関のシンボルにヒンドゥー教の神が用いられていたりする。日本で天皇が古事記や日本書紀に登場するアマテラスオオミカミの末裔であるとするのに似ている。権威の正当性に使われているのだ。
そのうちヒンドゥーの神々は土着化し、都会の街角でも祀られているわけだ。地元の人から厚い信仰を集めるエラワン廟の狭い境内には黄金のブラフマー像が安置されていて、ひっきりなしに参拝客が訪れている。周囲はお供え物でいっぱいだ。写真に写っている女性たちもちょうど黄金の像に向かってお祈りをしている最中だった。
2019年12月 人びと タイ | |
バック・ショット バンコク 黄金 お供え物 神社 参拝客 |
No
11320
撮影年月
2019年9月
投稿日
2019年12月13日
更新日
2023年09月25日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA