自由が丘のおしゃれな町並みを進んでいくと、突然木々がこんもりした空間が現れる。東京で建物が密集した地帯にこのように木々が生い茂った場所が現れた場合、その可能性はふたつ。ひとつは豪邸だ。狭小住宅ばかりが建つと揶揄される東京にあっても、中には人並み外れた財力で大きな家を構える人もいる。そのような豪邸には大きな庭があって、大きな木が植えられていることが多い。もうひとつの可能性は神社仏閣だ。昔より境内が狭くなっているところが多いとはいえ、今でも神社仏閣には大きな境内に鎮守の森を備えているところもある。
自由が丘で現れたこんもりした空間は後者だった。自由が丘熊野神社だったのだ。このおしゃれな商業地に建つ神社の歴史は古く、一説には鎌倉時代以前の創建ともされる。それだけ古くから鎮座していれば、近代に入ってからの自由が丘の勃興もつぶさに見ているに違いない。今では自由が丘というおしゃれな地名になっている神社の所在地は、かつて衾村と呼ばれていたところ。自由が丘だとおしゃれな印象を受けるけれど、衾村だったらどれだけの人がおしゃれな印象を持っただろう。名前を変えて雰囲気を変えて、すっかりおしゃれな商業地に変貌した自由が丘は、神社からしたら美容整形をしたようなものかもしれない。
2022年12月 町角 東京 | |
参道 自由が丘 神社 傘 |
No
12413
撮影年月
2022年9月
投稿日
2022年12月13日
更新日
2023年08月10日
撮影場所
自由が丘 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF