境内に多くの屋台が立ち並んでいるのと対照的に、大井にある鹿嶋神社の社殿でお参りしている人の数は少なかった。ほとんどの人がお参りよりも屋台で買った食べ物を頬張るので忙しい。写真の男の子も鳥居に寄りかかりながら、かき氷をもぐもぐしていた。お参りを済ませてから屋台の食べ物に食らいつくのが理想なのだろうけれど、いつご利益があるのか分からないお参りをするよりも、今すぐにお腹が膨れる食べ物のほうが人びとの関心を呼ぶのも仕方がない。時間選好率が高いのだ。
時間選好率というと、マシュマロ・テストと呼ばれる子どもの自制心が将来を左右するという実験を思い起こす。将来のより大きな成果のために、自己の衝動や感情をコントロールし、目先の欲求を辛抱する能力が高ければ高いほど、社会的に成功する確率が高いという話だ。つまり時間選好率が低い子どもほど将来社会的に成功するらしい。このような話自体は一般的な感覚とずれていないので、誰しもが納得するのではないだろうか。面白いのはこの先だ。とても著名な実験なのだけれど、2010年代後半に行われた追試では再現が困難であることが報告されている。自制心よりも教育や家庭環境の要因の方が将来の成功に対する影響が大きいというのだ。子どもの自制心よりも家庭環境や教育の方が影響が大きいなんて、元も子もない話なので、マシュマロ・テストの知名度と比べて再現可能性の低さについてはあまり知られていないような気がする。
2023年1月 人びと 東京 | |
参道 男の子 大井 神社 スイーツ |
No
12432
撮影年月
2022年10月
投稿日
2023年01月20日
更新日
2023年08月09日
撮影場所
大井 / 東京
ジャンル
スナップ写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF