同じ東洋館という名前だけれど、浅草にある東洋館と上野にある東洋館はかなり違う。浅草にある東洋館の見ものは現在生きている人の行う文化的な何かであるのに対し、上野にある東洋館の見ものはかつて生きていた誰が作った文化的な何かだ。こちらは東京国立博物館にある施設のひとつ。中に入ると客席もステージもなく、最初に出迎えてくれるのは仏像だ。その昔、中国に住んでいた誰かが制作したものが時と場所を超えて、東京で展示されているのだ。
仏像はガラスケースの中に陳列されているものもあれば、何の囲いもなく置かれているものもある。いずれにしてもかつては寺院に鎮座していたのだろうけれど、何の因果か今は薄暗い博物館の中にいる。大勢の人に正面に立たれるのは、今も昔も同じかもしれないけれど、ここで手を合わせている人はいない。ちょっとした解説文を読んで鑑賞する人ばかりだ。博物館で展示されている仏像は、信仰の対象というよりも美術品としての要素が大きいようだ。でも、ここにお賽銭箱を置いたら結構の人がお賽銭を入れそうな気もする。
2024年5月 静物 東京 | |
仏像 博物館・美術館 上野 |
No
12589
撮影年月
2023年9月
投稿日
2024年05月15日
撮影場所
上野 / 東京
ジャンル
静物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF