長い名前の博物館の前庭に大きな仏像の頭のアート作品が置かれていた

仏像の頭部
仏像の頭部
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ムンバイの太陽は、まるで神々の怒りが凝縮されたかのように容赦なく照りつける。強烈な湿気が肌にまとわりつき、影を探しながらの移動が当たり前になっていた。そんなとき、僕はふと目にした「チャトラパティ・シヴァージー・マハーラージ・ヴァストゥ・サングラハラヤ」という長ったらしい名の博物館に足を向けることにした。ムンバイの観光名所として知られ、世界遺産にも登録されている歴史的な建造物。何より、館内はきっと冷房が効いているに違いない——そう思ったのだ。

門をくぐると、そこには重厚な石造りの建物が聳え立っていた。イギリス植民地時代に建てられた荘厳な建築様式が、そのまま時を超えて僕の前に立ちはだかっている。前庭には巨大な仏像の頭部が転がっていた。しかし、僕の興味はその歴史や美しさよりも、内部の涼しさに向けられていた。早く、早く冷たい空気に触れたい。チケットを購入し、重厚な扉を押し開ける。

——そして、絶望する。

中に広がっていたのは、じっとりとした生ぬるい空気。壁際には扇風機が数台、力なく回っているだけだった。目を疑った。こんなに格式ある博物館なのに、冷房がない?いや、むしろ歴史的な建築だからこそ、冷房設備を後から加えることができなかったのかもしれない。どちらにせよ、僕の期待は木端微塵に砕け散った。

ここには興味深い展示物もあるはずだが、残念ながら僕には、この博物館をじっくり鑑賞する余裕はなかった。とにかく暑い。息苦しい。扇風機の前に立ち尽くす人々の姿が見える。きっと彼らも同じ思いなのだろう。

「これはもう無理だな。」

そう呟き、僕はそそくさと出口へ向かった。次回こそ、きちんと涼しい季節に来て、ゆっくりとこのムンバイの観光名所を巡るとしよう。だが今は、この焼けつくような街の風の中に、再び身を投じるしかない。

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ENGLISH
2025年3月 建築 インド
仏像 ムンバイ 博物館・美術館 世界遺産

PHOTO DATA

No

12830

撮影年月

2024年5月

投稿日

2025年03月09日

撮影場所

ムンバイ / インド

ジャンル

建築写真

カメラ

SONY ALPHA 7R V

レンズ

ZEISS BATIS 2/40 CF

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