生まれた時から日本国憲法第9条があって、自衛隊が存在していた人間からしてみると、軍人という存在はどこかファンタジーだ。大日本帝国陸軍も大日本帝国海軍もとうの昔に消滅し、周囲に軍人はひとりもいない日常で、軍人が活き活きしているのは司馬遼太郎などの作品の中だけの気がする。
そのような中、皇居の周りを中心にチラホラと今でも軍人の銅像が立っている。これらは第二次世界大戦前に忠君愛国の象徴として立てられたもの。どの像も胸を張り自信に満ちあふれていて、戦前に軍人がどれだけ人気があったのかが偲ばれる。銅像の中には太平洋戦争中の金属類回収令で失われてしまったものや、戦後に東京都が設置した「忠魂碑銅像等撤去審査委員会」の審査で戦犯銅像とされ撤去されてしまったものもあるけれど、今でもしぶとく立っている軍人像もある。
上野動物園の入口近くにある騎馬像もそのひとつだ。これは陸軍大将や近衛師団長、参謀総長という要職を歴任し、のちに元帥にまでなった小松宮彰仁親王の騎馬像だ。明治時代には皇族も進んで軍務に就くべきと考えられており、小松宮彰仁親王も率先して軍役に就いた皇族だった。
この騎馬像が立てられたのは1912年のこと。時代は移り変わり、陸軍はなくなってしまったものの、公園の一角で小松宮彰仁親王は前立のある正帽をかぶり、凛として馬にまたがって軍人の威厳を周囲に島し続けているのだった。
2021年9月 静物 東京 | |
馬 像 上野 上野公園 |
No
12035
撮影年月
2021年2月
投稿日
2021年09月20日
更新日
2023年08月17日
撮影場所
上野 / 東京
ジャンル
静物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF