嘉義を訪れたのは、ここに故宮博物院の別館である南院があるからだった。2015年に開館したばかりのこの博物館は、台北の本院と同じく、国民党が大陸から持ち込んだ歴代中国王朝の財宝を展示している。
広々とした館内を歩き回りながら展示品を見ていると、大きな仏像の顔に出会った。それはライトで柔らかく照らされ、穏やかな表情で目を閉じていた。いつの時代のものなのかは分からない。顔だけが展示されているということは、顔から下は失われてしまったのだろう。
その仏像は、どこからともなくお経が聞こえてくるのを待っているのかもしれない。けれど、ここは寺院ではなく博物館だ。仏像の周囲に集まっているのは、僕のような物見遊山の人間ばかりだった。彼らは好奇心に駆られて、瞑想している仏像を品定めするような眼差しで見つめている人間ばかりだった。
2017年5月 静物 台湾 | |
仏像 嘉義 博物館・美術館 横顔 |
No
10143
撮影年月
2016年9月
投稿日
2017年05月15日
更新日
2024年12月06日
撮影場所
嘉義 / 台湾
ジャンル
静物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA