薄暗い展示室にガラスケースが並んでいて、中にはそれぞれ飛鳥時代に作られた金銅仏が鎮座している

飛鳥時代に作られた金銅仏
飛鳥時代に作られた金銅仏
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東京国立博物館の法隆寺宝物館を訪れて不思議に思う人も多いだろう。僕も初めて訪れたときは違和感を感じた。奈良にある法隆寺の宝物が東京国立博物館にあるのはなぜだろうと。国立博物館の所蔵になった宝物があってもいいけれど、所蔵するのは東京国立博物館ではなく、奈良国立博物館が相応しいのではなかろうかと思うのだ。

言わずと知れた法隆寺は聖徳太子とも縁のある古刹だ。創建は607年のこととされるから1400年を超える歴史を誇っている。そのような古刹なら宝物もたくさんあって、自ら管理していても不思議ではないのに、事情はそう簡単ではなかったようだ。正確なところは不明であるものの、その原因となったのは明治時代になって吹き荒れた神仏分離・廃仏毀釈の嵐と考えられている。多くの仏教寺院が寺領や権力者の後ろ盾を失い、経済的に困窮していく中で、法隆寺も同じ道筋を辿っていたという。このままでは寺宝が散逸してしまう、という危機感から日本でもっとも安全確実な保管先である皇室に寺宝を一括献納して永久に伝えることにしたのだという。このときに献納された寺宝が東京国立博物館に収蔵されている法隆寺献納宝物なのだ。

その結果、法隆寺宝物館には飛鳥時代から奈良時代にかけて制作された貴重な宝物が300件あまり収蔵されていて、正倉院宝物と双璧をなす古代美術のコレクションと評価されている。入館してすぐの展示室にあるのは飛鳥時代に作られた金銅仏だ。薄暗い空間にガラスケースに入れられた金銅仏が何体も並んでいる様子は圧巻だ。

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ENGLISH
2024年8月 静物 東京
仏像 博物館・美術館 上野

PHOTO DATA

No

12621

撮影年月

2024年1月

投稿日

2024年08月02日

撮影場所

上野 / 東京

ジャンル

静物写真

カメラ

SONY ALPHA 7R V

レンズ

ZEISS BATIS 2/40 CF

日本国内で撮影した写真とエッセイ

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