線路のすぐ脇を歩いていた。この線路はジャカルタ・コタ駅を起点とするKRLコミューターラインのタンジュン・プリオク線の電車が走るところ。インドネシア・ジャカルタ首都圏の通勤電車のひとつが走る線路だ。しかしながら、線路の脇を歩いていても電車が走ってくることはなかった。通勤電車だから、走るのは朝と夕方の時間帯だけで僕の歩いていた昼過ぎの時間帯には走っていないのかもしれない。あまりにも電車がやってくる気配がないので、「スタンド・バイ・ミー」のように線路に耳をあてて、姿が見えなくとも遠くから電車が近づいて来てはいないか確認したくなるくらいだった。
この辺りは線路のすぐ脇まで住宅が迫っているだけでなく、住宅と線路の間にフェンスが設けられているわけでもない。電車が走る「ここではないどこかへ通じる空間」と日常生活が営まれる「ここ」との境目が曖昧なのだ。だからといって、駅でも何でもないこの場所から電車には乗れない。電車は日常生活が営まれる「ここ」の中を暴力的に走り抜けていくだけだ。
トボトボと線路脇を歩いていくと、水溜りがあって男の子がその横に腰を下ろしていた。まるで釣りしているかのように木の枝を手に持って、枝の先を水面に垂らしていた。何か考えごとをしていたのか、男の子は目をつむったままじっとしていた。
2021年3月 インドネシア 人びと | |
男の子 ジャカルタ 水溜り 線路 反射 サンダル |
No
11855
撮影年月
2020年1月
投稿日
2021年03月24日
更新日
2023年08月25日
撮影場所
ジャカルタ / インドネシア
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF