川辺に建てられたチャウタンの市場は薄暗かった。東南アジア諸国で明るい市場というものを訪れたことはないような気がする。そして、その原因は安定した電力が確保できないからということだけではないような気がしてならない。現代の日本人と比べると、東南アジア諸国の人たちはずっと暗闇に慣れ親しんでいるような気がするのだ。
かつて谷崎潤一郎は随筆「陰翳礼讃」の中で日本建築の美は陰影の中にこそあるのだというようなことを書いていたけれど、そのような感覚は僕を含めた現代の日本人からはすっかり失われているのではないだろうか。それとは対照的に、東南アジアの人たちはその感覚を保持し続けているのかもしれない。
いずれにしても、僕は薄暗い市場の通路を歩き回っていた。ところどころに設けられている天窓から日光が降り注いでいる。市場の中の陰影は市場を実体よりもずっと格好いいものにしている。何せ売られているものは何の変哲もないものばかりだ。
2019年4月 ミャンマー 人びと | |
薄暗さ 縁のある帽子 チャウタン 市場 通路 タナカ |
No
10962
撮影年月
2018年9月
投稿日
2019年04月06日
更新日
2024年08月22日
撮影場所
チャウタン / ミャンマー
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA