京都にある大徳寺で一般公開されている数少ない塔頭のひとつ、高桐院に上がって書院を抜けて客殿に来ると、楓の庭が現れる。楓が植えられたとてもシンプルな庭だ。
客殿から眺める楓の庭はこの寺院の目玉で、腰を下ろして庭を眺められるように縁側に緋毛氈が敷かれていた。僕が訪れた時、縁側には先客の夫婦が腰を下ろして、静かな境内にゆったり流れる時間に浸っていた。
高桐院の歴史は長いものの、この庭の歴史はそれほど長いものではない。もともとは江戸時代初期に造園されたものを1971年に当時の住職が造り替えたものだという。それでも竹林や雑木を背景にして楓の木がポツポツと植えられているシンプルな庭は、眺めれば眺めるほど何か意味が込められているような気がしてくるから不思議だ。
先客の夫婦も、語りかけてくるような佇まいを見せる楓の木のささやきに耳を澄ませているかのようだ。緋毛氈の上に腰を下ろしたまま、しばらくの間、じっとしていた。
2021年4月 京都 人びと | |
カップル 庭園 京都市 シルエット 寺院 |
No
11890
撮影年月
2020年2月
投稿日
2021年04月28日
更新日
2023年08月25日
撮影場所
高桐院 / 京都
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF