鯉のぼりの歴史は古い。もともと武家が行っていた玄関に幟や旗指物を飾る風習が、江戸時代中期に商人に伝わり、そのうちに飾るものが登龍門の故事から鯉をかたどったものにかわったのだという。歌川広重が1850年代に描いた名所江戸百景「水道橋駿河台」という浮世絵にも、大きな鯉が描かれているから、江戸末期には一般的な風習だったようだ。その浮世絵を見て気づくのは、浮世絵なのに、描かれているのが真っ黒な真鯉であること。まだ当時は色鮮やかな錦鯉が一般的ではなく、真っ黒な真鯉ばかりだったからだ。
錦鯉が一般的になった現代では、もちろん鯉のぼりも色とりどりなのが当たり前になっている。館林を流れる鶴生田川に飾られた鯉のぼりも色鮮やかだった。昔ながらの真っ黒な鯉のぼりもいれば、青い鯉のぼりも、赤い鯉のぼりも、緑の鯉のぼりもいた。この日は風が強かったので、どの鯉のぼりもほとんど水平になって空を泳いでいる。水平すぎて、登龍門の故事のように急流を泳いでいる鯉をイメージするのは難しい。このように緩流を泳いでいるだけでは、どの鯉のぼりもこのあとに龍に変身するのは叶わないに違いない。
2023年7月 群馬 静物 | |
魚 公園 河川 館林 |
No
12524
撮影年月
2023年4月
投稿日
2023年07月25日
更新日
2023年08月07日
撮影場所
館林 / 群馬
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 1.8/85