「分福茶釜」のおとぎ話を知っている人は多くとも、その話の舞台が群馬の館林に実在しているのを知っている人は少ないだろう。その舞台とは茂林寺という曹洞宗の寺院で、ここには今でも分福茶釜が保管されている。おとぎ話の中だけに存在していると思われがちな釜が実物もあると知って、ちょっとびっくりだ。
おとぎ話と現実との境目にあるような茂林寺の境内には、あちらこちらに信楽焼のタヌキが置かれている。「分福茶釜」のおとぎ話に合わせて設置しているのだろう。しかしながら、この演出はちょっとチープに感じてしまう。伝説が残っているのだから、稚拙な演出は不要と思うのだけれど、どうだろう。
とぼけた表情のタヌキたちを見て緩んでしまった気持ちを引き締め直してくれるのは、境内に建つ由緒ある建造物たちだ。境内の入り口に建つ総門は1468年に建てられたものだし、朱色の山門は1694年に、本堂は1468年に建立されたのち、1727年に改築したものだ。ほんわかしているタヌキとの表情とは裏腹に、歴史的建造物がいくつも建っていて、茂林寺の境内にはアンビバレントな情緒が漂っているのだった。
2023年7月 群馬 静物 | |
参道 像 館林 寺院 |
No
12525
撮影年月
2023年4月
投稿日
2023年07月27日
更新日
2023年08月18日
撮影場所
館林 / 群馬
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 1.8/85