運河沿いに小屋が立っていた。道路側に壁がなく開放的な小屋は工房になっている。通りがかりに中を覗くと数人の職人たちが働いていた。職人たちの間に会話は無く、それぞれが自分の行うことを黙々とこなしている。写真の若者もそのひとりだ。ここで作っているのは僧侶が托鉢の際に持ち歩く大きな鉢だった。日本と違って、タイの仏教は上座部仏教なので托鉢をすることは珍しいことではない。その際に僧侶は唯一個人的に所有するのを認められた鉢を持って托鉢に出るのだ。
大きな切り株の作成中の鉢が置いてある。鉢の形にはほとんどなっているけれど、まだまだ造りかけだ。今時の格好をした若者はバールのような形のハンマーでひたすらに鉢の内側を叩いて形を整えている。男の顔は真剣だ。でも、耳にイヤフォンを付けていて、音楽を聞きながら作業を進めている。はやりの音楽でも聞いているのだろう。僧侶が修行で使う道具も、俗世間に塗れた環境の中で造られているのだった。
2018年3月 人びと タイ | |
バンコク 職人 イヤホン 扇風機・扇子 ハンマー |
No
10495
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年03月27日
更新日
2024年02月28日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA