生きた鶏が入ったカゴが置かれている店の隣に、鶏の丸焼きを作る厨房があった。効率的な配置だ。カゴから鶏を取り出したら、すぐに丸焼きにできるようになっている。視点を変えてみると、これはカゴの鶏にとっては地獄と隣り合わせのようなもの。カゴから外に出ることは、あの世に行くことを意味している。
厨房には羽をむしり取られた鶏が山積みになっていて、傍らに男が立っていた。手に大きなガスバーナーを持っている。男はそれを使って鶏の丸焼きを作るのだ。ガスバーナーで熱せられた鶏肉はこんがりと焼かれている。
男がガスバーナーを使っているのを眺めていると、このクロントゥーイ市場にロティサリーチキンを作る機械がないのに気がついた。この厨房以外にも鶏の丸焼きを作るところはあったけれど、どこでもバスバーナーで熱していて、ロティサリーグリルでじっくりと焼いている厨房はないのだ。
ひょっとしたら、ロティサリーグリルを使うよりもガスバーナーを使った方が安上がりなのかもしれないし、タイ人は思いの外気が短いというから、誰も時間のかかるロティサリーグリルを使わないのかもしれない。それともロティサリーグリルというものを知らないだけなのかもしれない。どれかが正解かもしれないし、どれも不正解かもしれない。正解は分からなかった。
2020年2月 人びと タイ | |
バンコク 鶏・鶏肉 料理人 クロントゥーイ市場 厨房 市場 |
No
11415
撮影年月
2019年9月
投稿日
2020年02月24日
更新日
2023年09月11日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA